顕微鏡の歴史

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6. 各種顕微鏡と周辺機器の始まり

6-6 蛍光顕微鏡

可視光より波長の短い紫外線は、1801年リッターJ. Ritter(ドイツ)により発見されました。

この紫外線を物質に照射すると蛍光を発する現象は、イギリスのブリュースター(前出:1833年)やハーシェルW. Herschel(1845年)、ストークスG. Stokes(1852年)により研究の発表が行われました。この蛍光の現象を顕微鏡に取入れるアイデアは、1904年に紫外線顕微鏡を発表したツァイス社のケーラー(前出)で、1908年にはジーデントップと試作機を作りました。最初に蛍光顕微鏡を発売したのはライヘルト社(1911年)で、ツァイス社はその2年後にレーマン(同)らにより蛍光顕微鏡が開発されました。いずれも透過型顕微鏡タイプで、光源にはカーボンアーク灯が採用され、照明系の光学部品材料は石英で構成されました。

最初は物質そのものが発する自家蛍光(一次蛍光)の観察が行われていましたが、1930年代以降にハイティンガーM. Haitinger(オーストリア)らによって蛍光色素が発見され、これによって染色された細胞や組織から発生する二次蛍光を観察する蛍光染色法が広まりました。