顕微鏡の基礎

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2. 顕微鏡の光学系

2. 3 接眼レンズ

接眼レンズは、結像系で作られた実像を眼で観察するためにさらに拡大された虚像にする役割を持っています。倍率はおおよそ8〜15倍の範囲ですが、5倍や20倍、30倍といったものもあります。また観察できる視野の範囲を規定する視野数も接眼レンズによってまちまちですが、標準的な10倍の場合、18以上で広視野、23以上で超広視野と呼んでいます。接眼レンズの鏡筒スリーブ挿入部の外径は、23.2mm及び30mmが標準寸法として規定されています(ISO 10937, JIS B 7143)。観察するときの眼の位置(アイポイント)が接眼レンズの端面より離れていると、メガネを掛けたままでも観察できるため特にハイアイポイントと呼ばれます。また、観察者の両眼の視度の違いを補正するため、視度調整機構がついた接眼レンズもあります。

このほか、視野絞りの位置にミクロメータなどの目盛を刻んだ焦点板(Graticule:図2-5)を内蔵したもの(あるいは着脱可能なもの)も市販されています。図2-6は接眼レンズの外観を表したもので、各記号は規格(ISO 8578, JIS B 7252)で定められています。

図2-5 各種焦点板(ミクロメータ)の例
図2-6 接眼レンズの表示(例)